ローマは一日にしてならず

前回ご紹介しました「雨垂れ石を穿つ/点滴石を穿つ」の類義でもある
ローマは一日にして成らず
大事業は長年の努力なしに成し遂げることはできないというたとえですね。



“ローマ”とあるように実は英語のことわざが元になっています。
“Rome was not built in a day.”

人類史上最大最強の反映を遂げたかのローマ帝国も、築くまでには約700年もの歳月を費やし、長い苦難の歴史があった・・・
決して短期間で完成するものではないということですね。

ちなみに同義で日本人の私達に、より馴染み深いことわざといえば、
千里(せんり)の道も一歩から千里の行(こう)も足下(そっか)より始まる
があります。

こちらの原文は中国の『老子(ろうし)』にあり、
「九層(きゅうそう)の台(うてな)も塁土(るいど)より起こる」
で、九階建ての立派な建物も積み重ねたわずかな土より始まるのだ、ということです。
紀元前500年の周の時代も、ローマ帝国も、まさに一日にして成らず!

ところでこの“Rome”を含むことわざですが、他にも良く知られている物としては、
先ず、“When in Rome, do as the Romans do.
直訳すると、ローマにいる時は、ローマの人々と同じくふるまえ。
こちらの起源はラテン語の
“Cum fueris Romae, Romano vivito more, cum fueris alibi, vivito sicutibi.” の前半部分の英訳にあります。
日本語のことわざでは「郷(ごう)に入(い)っては郷に従え」ですね。
風俗や習慣はそれぞれの地方で異なるから、人はその住んでいる土地の慣習に従うのが良い。
また、ある集団に属したら、その集団のやり方に従うべきだ、という教えですね。

次に“All roads lead to Rome.
日本語では「すべての道はローマに通(つう)ず」ですね。
ローマ帝国の全盛時代には、世界各地からさまざまな道がローマに通じていたことから、意味は
1)ひとつの真理はあらゆることに適用される。
2)真理や目的に達する手段は一つではなく、いくつもあるものだ、ということのたとえです。
ラテン語のことわざ“Omnes viae Roman ducunt.” の英訳であり、フランスの詩人、ラ・フォンテーヌの寓話から出た言葉でもあります。