まさかの時の友こそ真(しん)の友

不慮の窮地に手を差し伸べてくれる友人こそが本当に友人というべき存在である、という意味であるこのことわざ。

“持つべきものは友”とはよく言ったもので、まさかの事態を友人に助けられた(または救ってあげた)経験は誰しもあるのではないかと思います。

そんな時は友の存在の有り難さを再確認し、また友とはそういった関係でいたいものだと思いますよね。

実はこのことわざ、私たちにとって馴染み深くよく使うものですが、元々英語のことわざで、
“ A friend in need is a friend indeed. ”
の訳語なんです。

ぜひ声に出して覚えてみて下さい。「 in need 」(困っている)と「 indeed 」(本当に、実に)で、とてもきれいな韻(いん)を踏んでいるのが分かります。

ところで主語となっている「 A friend in need 」をそのまま直訳してしまうと、「困っている(状態の)友」となってしまい、“困っている友は本当の友”という変な解釈になってしまいます。

文法的に少し違和感があるかも知れませんが、「 a friend in need/ a friend indeed 」というリズミカルさを優先させるためにこういった語の並びとなっているので、
“ A friend in need is a friend indeed. ”
=
「まさかの時の友こそ真の友/困った時の友こそ真の友」
と、このまま覚えてしまいましょう。

また「 indeed 」という語ですが、何かを強調する目的で「実に」、「本当に」、「確かに」、「いかにも」などの意味で使われます。

非常にフォーマルな言葉であり、堅い(時にはちょっと堅苦しいニュアンスをも含む)表現なので、日常会話ではあまり頻繁には使われません。

しかしこの「 indeed 」、使い方には柔軟性のある語で、文頭や言葉が始まる前に挿入したり、文章が終わった後に付け加えても成立し、さらに単独で返事としても使うことができ、文中どこに入れても「確かに」という強調の意味が伝わります。

例:This picture was indeed painted by Picasso!
これは正にピカソの絵に間違いない!

このことわざを覚えて、「 in need 」と「 indeed 」の2つの語の意味と使い方もマスターしたいですね。
ちなみに、“ A friend in need is a friend indeed. ”とは違ったニュアンスの言葉ではありますが、
A friend in need 」を用いた名言があるのでご紹介します。

かの有名なチャップリンが残した言葉で
“ To help a friend in need is easy, but to give him your time is not always opportune. ”
困っている友を助けることは簡単だが、彼にあなたの時間を割《さ》くことは、いつも好都合であるとは限らない。

こちらの「 A friend in need 」の解釈は、前述の通りの直訳である “困っている(状態の)友” でOKですね。

友とは、本当に困った時に助け/また助けられるべき存在であって、いつでも容易に甘え/甘えられるような関係は真の姿ではない、という深い言葉ですね。